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ボディワーク(詳細)
心と体はひとつ

 1960年代以降、従来の理論や方法に加えて東洋思想やカウンターカルチャーからの影響を受けた、数多くの心理療法や身体技法が生まれた。これらのメソッドは、具体的な技法や主たる焦点は違っても、「人の心理は身体感覚や身体そのものと連動しているために、心理を扱う上で体を無視することはできない。同様に、体を扱う上で心理を無視することはできない」というほぼ共通した洞察に基づいている。

 こうしたメソッドの中で、主に体から働きかける身体技法は、体へのダイレクトなアプローチを通じて分析的知性のバイアスを迂回し、心身の速やかな変容をもたらすという利点を備えている。

 身体技法には大別して、癒しを必要とする人が自分でエクササイズを行なったり、言葉や身体への接触によってエクササイズを誘導してもらったりするものと、専門技術を身につけた施術者(ボディワーカー)が依頼者(クライアント)に対してマッサージ的な手技施術を行なうボディワークの二種に分かれる。エクササイズ系のワークにはアレクサンダー・テクニーク、フェルデンクライス・メソッド、コンティニュアムなどがある。ボディワークにはロルフィング、シン・インテグレーション、ヘラーワーク、リバランシング、コンシャスタッチ、エサレンマッサージ、サイキックマッサージなどが挙げられる。ただし、両方の要素を併せもったワークもある。

 これらの身体技法が、従来の体操やマッサージなどの治療的手技療法と異なるのは、「気づき・意識」を重視する点である。たとえばエクササイズ系のワークでは、それぞれの技法を行ないながら、ふだん無意識的に使っている自分自身の体に気づきを向け、硬直化した心身のパターン(条件づけ)を解きほぐし、より解放された自由な心身を実現させる。

 一方、ボディワークの多くは「体が慢性的筋緊張(ブロック)という形で記憶しているトラウマ(精神外傷)やストレスを、マッサージによって解放する」という方法論をとっている。クライアントは、施術によって解放される感情に気づきを向け、場合によってはそれを再体験することで、心身を拘束する「鎧」を脱ぎ捨てていく。

体のワーク羅針盤

肉体を超えた「身体」

 秘教的な伝統から派生したワークもある。いわゆる「気」や「オーラ」といった生体エネルギーや、そのエネルギー・ポイントである「チャクラ」に対して働きかける手法は、世界中の宗教的伝統や伝統療法の中に見られるものである。こうした手法が主として先進諸国で現代的にアレンジされ、さまざまなワークが生まれた。生体エネルギーに働きかけるワークを、とりあえずエネルギー系のワークと呼んでおこう。こうしたワークには、歴史的な伝統とは直接関係なく、創始者が生体エネルギーを感じることができたために生み出されたものもある。

 エネルギー系のワークには、レイキ、ポラリティ・セラピー、カラーパンクチャー、気功、エネルギー・ワーク、オーラヒーリングなどを含めてよいだろう。いずれも、肉体を超えた次元のエネルギー身体(俗にいう微細体、幽体、霊体など)に流れるエネルギーの滞りを取り除いたり、エネルギーのバランスをとったり、エネルギーを浄化したりすることで、心身の癒しを実現する。

 脈拍に働きかけるチベタン・パルシング・ヒーリングやジンシンジュツ、頭蓋仙骨独特のリズムに働きかけるクラニオセイクラル・ワークなどは、ボディワークとエネルギー系のワークの中間的な位置にあると考えてよいだろう。

 近年、ボディワークの多くがこうした生体エネルギーにもアプローチするようになっている。特にサイキックマッサージなどはその傾向が強いといえるが、最近では西欧の伝統手技であるオステオパシー(整骨)の中にもエネルギー・ワーク的手法が見られるようになっている。

 また、ワークの考え方の中では、生体エネルギーへの働きかけが強調されていなくても、体、心、エネルギー身体は密接に結びついているため、ボディワークはエネルギー身体への影響を当然及ぼしていると考えられる。

 心と体が変化すればエネルギー身体も変化するし、エネルギー身体が変化すれば心と体も変化する。そういう意味で、心、体、エネルギー身体を分けるかのような、ボディワークとかボディワーカーという呼称を嫌う施術者もいる。

 体にタッチすることを通して、深い内的なリラックスと瞑想を目的とするコンシャスタッチのような新しい概念も出てきているように、これまで挙げてきたような身体技法全般は、より繊細に、統合的な方向へと進化しているといえる。

もっと気軽に癒しを体験する

 ここ数年の間に、急速に一般に流行してきているのがアロマテラピーとリフレクソロジーである。アロマテラピーは部屋で香りを楽しむほか、エッセンシャルオイル(精油)とベースオイルを混ぜたものでマッサージを受けるというスタイルが主流だ。前者では心の癒し、後者では心身の癒しとともにエステ的な効果を期待されることが多い。手軽なものと思われがちだが、実際は心身症などの改善に役立つなど、奥の深い療法である。

 リフレクソロジーは足の裏にある全身と対応する反射区を、指(英国式他)や器具(台湾式)で刺激し、全身的な健康回復・維持を目的とするものだが、服を脱がずに施術が可能であるという気軽さと、自己施術もできる点が人気を呼んでいる。

 最近では多くの人が、体と心のつながりについて、そして心身のケアについて関心を高めてきている。本誌で紹介するような身体技法が、ニューエイジや精神世界といった枠を超えて広く知られるようになる日も近いかもしれない。


*なお本誌で用いているマッサージという用語は、国家資格に定めるマッサージとは異なるものであることをご了承ください。

(文と図:編集工房 草雲舎 森幹雄&編集部)


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