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ハコミ・セラピー(詳細)
「ハコミ」という言葉を耳にして、みなさんはどんなことを連想されるだろうか?なにやら日本語のようにも聞こえるこの言葉、実際は『日常のリアリティのさまざまな側面に対して、あなたはどのように参画しているのか?』という深遠な意味をもつホピ・インディアンの言葉で、通常は簡単に「あなたは何者か?」と訳されている。

自発的な癒しの出現

心理療法としてのハコミは、ロン・クルツ(Ron Kurts)によって、70年代半ばのアメリカで始められた。全体として非常にホリスティックな視点に立った心理療法であり、ゲシュタルト療法、プロセス指向心理学(POP)などと並んで、近年、たいへん注目されているセラピーのひとつとなっている。他のさまざまなトランスパーソナル・セラピー同様、ハコミは東洋思想(特に仏教およびタオイズム)の影響を色濃く受けているが、さらに一般システム論やヒプノシス、各種ボディワーク(フェルデンクライス・メソッド、バイオエナジェティクス)など、現代の西洋における多様な人間性探求の試みを統合したものとなっている。
さてハコミの特徴についてだが、まずひとつには、クライアントの体に自ずと現れてくる無意識からのメッセージに注目してワークしていくなど、「こころとからだの相関性」を特に重視している点が挙げられる。
しかし、なんといっても最大の特徴は、そのワークの「繊細さ」といえるだろう。一般的に西洋の心理療法は対決的で、自己表現を強いるものが多いため、西洋人と比べて自我意識が弱く、自己を表現することに不慣れな日本人にはきつい感じがままある。実際、ロジャーズのような非指示的で柔和なアプローチが日本で広く受け入れられている理由も、その辺りにあるのかもしれない。そうした意味において、ハコミはまさに、内省的かつ人間関係を重視する東洋人のメンタリティにぴったりのトランスパーソナル・セラピーといった感がある。
ハコミにおいて癒しとは、クライアントの内側から自発的に起こってくるものである。そしてセラピストは、その癒しのプロセスを自然な形で促すための受容的でいたわりに満ちた環境を作り上げ、それを維持していくべき存在として位置づけられる。

「援助者付きの瞑想」

ゲシュタルトやPOPでは無意識からのメッセージを意識的に拡大・誇張して表現することによって、その意味に気づいていくのが主流なのに対し、むしろハコミではマインドフルネスと呼ばれる、静かに自分の内側へと目を向ける意識状態に留まる。そして無意識からの微妙なメッセージを聞こえなくしている、意識レベルでの雑音(諸々の感情や思い込み、理屈付けなど)を低くすることによって、無意識との内なる交流を可能にしていく。その意味では、援助者付きの瞑想、あるいは、心理療法と瞑想の融合の試みともいえる。
その上でセラピストは、プローブ(マインドフルネスの状態で、いたわりに満ちた言葉などを投げかけるテクニック)などによって、クライアントの無意識に潜み、その人生をコントロールしている固定観念や思い込みを、無理なく表面化させていく。また、クライアントが示すさまざまな抵抗に対しても決して対決することがない。むしろ、テイク・オーバー(クライアントの自発的な行為や、内面で起こっている体験をセラピストが肩代わりするテクニック)などを使って、その存在と意味とを最大限に尊重していく。そうすることで、逆にその抵抗のより深いところに存在する、自発的な癒しのプロセスの出現を援助していくのである。見た目の派手さはあまりないが、それがかえって癒しへと通じる深い安心感を与えてくれるというのが、多くのハコミ・フリーク(?)たちの共通した認識であるようだ。
ハコミ研究所はコロラド州ボールダーにあり、現在では全米各都市やイギリス、ドイツ、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランドなどにも拠点を構えて、各種ワークショップやセラピストの養成を行なっている。また、1998年からは日本でも創始者のロン・クルツ氏によるハコミ・セラピスト養成コースが始まった。さらに、またボールダーの本部では、ハコミの基本的な考え方をベースとしたボディワーク「ハコミ・インテグラティブ・ソマティック」のトレーニングも行なわれている。



まず、この1冊!
『ハコミセラピー』
ロン・クルツ著
高尾浩志、岡健治、高野雅司訳
星和書店



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