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ネイティブ・アメリカン(詳細)
「すべての存在と繋がっている」
ミタクェ・オヤシン(All My Relations)
この言葉がネイティブ・アメリカンのスピリチュアリティの原点であり、「生き方」そのものを表現している。彼らには「宗教」という言葉は存在しない。すべての存在の創造主である偉大なる精霊、グレート・スピリット(ワカンタンカ)に敬意を表し、感謝とともに、その創造物である人々、動物、鉱物、水、火、風、空そして大地…私たちとともに存在するすべてと繋がりをもち、調和して生きること。これが亀の島と呼ばれる土地に、太古から生きてきた人々が現在も継承し続けている、人としての「道」である。
彼らはこれを「グッド・レッド・ロード」と呼ぶ。空は「お父さん」、月は「おばあさん」、大地は「お母さん」、四つ足の「人々」。そして木や植物はブラザー、シスターと呼ぶ。すべてのものにスピリットが宿っており、相互依存し、寄与し合って、ひとつの大きな輪の中で生かされている。この考え方は、彼らの「オファー」(捧げる)や「ギブアウェイ」(与え尽くす)の精神に結びついている。彼らは日々の中で、この「繋がり」を常に思い出し、自分自身の内側および外の世界に調和を創り出すため、祈り、そしてグレート・スピリット(グランドファーザー)のガイドを聞く。これが、彼らが伝承してきた儀式の根本となっている。

7つの「聖なる儀式」にまつわる伝承

ラコタ・スー族を中心に、ネイティブ・アメリカンに受け継がれてきた「聖なる儀式」は7つ(7は彼らにとって聖なる意味を持つ)である。それらの儀式がどのように与えられたのかは、次のようなストーリーで語り継がれてきた。
今から何千年も昔、人々は多くの問題を抱えており、長老たちは毎日祈っていた。ある日、2人の若者が狩りに出かけた。彼らは草原の丘に登った。遠くに何かが見える。近づいて見ると、それは白いバッファローの子どもだった。彼らが近づくと、白いバッファローの子どもは草の中にうずくまったが、再び立ち上がったとき、そこにいたのは白い服を着た美しい女性だった。彼女は何かを腕に抱えていた。

ひとりの若者はその場に相応しくないことを考えた。その瞬間、彼は灰となって消えてしまった。もうひとりの若者は、彼女を見て畏敬の念をもった。彼女はその若者にスウェットロッジの造り方を教えた。そして彼に、村に戻り、スウェットロッジと大きなティピー(ネイティブの移動式住居用テント)を立てて、自分を待つように言った。
若者は村に戻り、長老に伝えた。長老たちは予知していた。ロッジとティピーが立てられ、3日後、彼女は腕に何かを抱えて現れた。彼女はティピーに入り、人々を呼び入れた。それから7日間、彼女は毎日ひとつずつ、7つの儀式について教え、指導した。

Sweat Lodge,
Vision Quest,
Sundance,
Making of Relatives,
Throwing of Ball,
Keeping of the Soul,
Becoing A Woman

これらの儀式は、「聖なるパイプ」とともに授けられた。「すべての儀式はあなたたちと、そしてともに存在するもののために行いなさい、パイプがあなたたちの声をグレート・スピリットに届けてくれる」という教えのもとに。
最後の日、彼女は別れを惜しむ人々に「いつもあなたたちを見守っている。終わりの時が来たら再び戻ってくるだろう」と告げるとそこを離れ、草原の中にうずくまった。再び立ち上がった時、彼女はすでに消え、白いバッファローの子どもがそこにいた。
このWhite Buffalo Calf Womanと呼ばれるグレート・スピリットの使いがやって来て、彼らに「聖なるパイプ」と儀式を与えた日から、パイプは「動く祭壇」として儀式の柱となった。パイプホールダーたちは人々のために儀式を司り、パイプの煙に人々の祈りをのせる。「聖なるパイプ」は人々とグレート・スピリットを繋ぐ、文字通りパイプの役目をもっている。祈りを通してグレート・スピリットと交流すること、それはまた自分自身の奥深くにある大いなる存在との交流であり、そのプロセスの中で、与えられているすべてのものに感謝する意識が育まれ、内に真の調和が取り戻される。その時、心から世界に、言い換えればスピリットや人々に、オファーし、ギブアウェイすることの意味が理解されるのである。

スウェットロッジとヴィジョンクエスト

スウェットロッジは7つの儀式の中心となる儀式であり、他の儀式を行なう前には必ず行なわれるものである。また、ネイティブのスピリチュアルな道を歩く人々は、日常に根ざした儀式として、家族やコミュニティの仲間とともに、しばしばこの儀式を行なう。
それは「浄化と祈り」の儀式であり「死と再生のセレモニー」とも呼ばれている。ラコタ語でイニーピー(母なる大地の子宮)と呼ばれるドーム型のテントの中で行なわれる。その小さなドアを閉じると、内部には一切外の光が入らず、漆黒の闇となる。

ネイティブにとって、4方向(東西南北)は大切な意味をもつ。各々の方角にはスピリットが存在し、独自のパワーと色をもっている。イニーピーのドアは東(知恵の光がやって来るとされている)に設けられ、その手前に祭壇がしつらえられる。そして、その先2〜3メートル離れた所に溶岩石を焼くファイヤーピットが造られている。儀式では、すべて時計回りに物事が進められる。参加者はファイヤーキーパーやスウェットリーダーにタバコ(タバコは彼らにとって嗜好品ではなく、グレート・スピリットとの交流のドアを開くカギの役目をする重要なメディスンである)をオファーした後、時計回りにロッジの中に入り車座に座る。中央に掘られた浅い穴(ストーンピット)に外で赤々と焼かれた石が運び込まれ、これにハーブと聖なる水がかけられる。蒸気で満たされた内部は、真っ暗のスチームバスのような状態となる。この中で、リーダーのグレート・スピリットに呼びかける歌とともに、儀式が始まる。

儀式のプロセスは、各部族、儀式を司るスウェットリーダー、目的によってさまざまに異なるが、通常のスウェットは4ラウンドで構成されている。始まってから次にドアが開くまでが1ラウンド。
1ラウンドは「幼児期」、2ラウンドは「青年期」、3ラウンドは「壮年期」であり「ヒーリング・ラウンド」とも呼ばれる。そして最後の4ランウドは「死と再生のラウンド」である。
各ラウンドが終わる度にドアが開かれ、新しい石を増やしていく。赤々と燃える石は母なる大地の象徴であり、立ち登る蒸気は「グランドファーザーの息」と呼ばれ、参加者の祈りをグレート・スピリットに届けてくれる。

イニーピーは彼らにとって祈りと癒しの場所、ある意味では教会であり寺院である。ここでは決められた「祈りの形」はない。各々が、体から流れ出る汗と一緒にあらゆる汚れ、重荷、傷、制限を解き放っていく。

グレート・スピリットに自分自身の言葉で呼びかけ、内側から自然に溢れる正直な深い祈りを汲み上げていくと、肉体的に、精神的に、霊的に浄化され「癒し」が起こる。モクモクと立ち上がる蒸気とともにイニーピー(母なる大地の子宮)の外に出る時、まさに再生し、生まれ変わっているのである。

ヴィジョンクエストはCrying for visionとも呼ばれる、より個人的な儀式だ。もともとは、子どもから大人になる時期の「通過儀礼」の役割を担っていたが、人生の中で岐路に立った時や、次のステップに進む準備が整った時にも行なわれる。グレート・スピリットの懐ろに抱かれ、繋がりを感じて、そのヴィジョンやガイドをもらうために、彼らは一生に何度かヴィジョンクエストを行なう。
儀式は「祈りのタバコタイズ」を作ることから始まる。4方向の色の4〜5センチ角の布にナチュラルタバコを一つひとつ祈りを込めて包み、1本のヒモに結び付けていく。タバコはメディスン、タイズを作る時間はオファーである。スウェットロッジで自身を浄化した後、ひとりきりで聖なる自然の中に入っていき、4日間ヴィジョンを求め、グレート・スピリットのガイドを懇願する。

サンダンスは、7つの儀式の中でも最大のセレモニーである。バッファローは彼らにとって最も重要なスピリチュアル・アニマルであると同時に、その毛皮や肉はもちろん、骨や内臓にいたるまで、太古より重要な生活資源であった。そのバッファロー・ハンティングの季節が終わり、トウモロコシの収穫が済んだ時期に、グレート・スピリットの導きによって与えられた、すべての「恵み」に感謝を表すために、人々を代表する男たちが4日間、太陽の下で祈り、踊り続け「自分自身をオファーする」儀式がサンダンスである。肉体を傷めるため、一時期アメリカ政府によって禁止されていたが、近年になり再開を認められ、現在は、女性はもちろん家族で参加する人々もある。

最後に添えたいことは、すべてのネイティブがこの道を歩いているわけではなく、彼らの中にも他の社会と同様、さまざまな問題を抱える人がいるという点だ。しかし、「グッド・レッド・ロード」を歩く人々によって、これらの知恵は脈々と受け継がれ、このスピリチュアリティに謙虚に触れるすべての人に、そのドアは開かれている。そして彼らは、やはり自然に敬意をはらい、知恵を伝えて生きてきた私たち日本人と非常に近いものをもった、同じモンゴロイドである。




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