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Raw Food Diet /生食健康法  「生のものしか食べない」というダイエット(食事法)

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欧米で人気爆発中のローフード・ダイエット、それは21世紀の地球食になるのか?

今、アメリカの健康指向の人々の間で着実に人気を高めている食事法がある。それはローフード・ダイエット(Raw Food Diet /生食健康法)だ。ここでまず、気をつけなければいけないのは、ダイエットという言葉。
これは日本では即、減量、痩身のための方法というふうにとらわれているが、それは違う。
もともと非常に広い意味で食事法を指す言葉だ。太るためのダイエットもあるし、特定の病気を持った人たちのためのダイエットもある。

ローフード・ダイエットとは、その言葉の意味そのままで、「生のものしか食べない」というダイエット(食事法)だ。その歴史を遡ると、キリスト教の聖書にエッセネ派について書かれてあり、その中にローフード・ダイエット(発芽させた小麦などを石うすで引いてこね、それを火で焼かずに、天日で干してつくるパンなど)や浣腸による健康法について書かれている。
その他にも19世紀あたりになると、「ナチュラル・ハイジーン運動」の創立者達、ラッセル・トロール、ジョン・ティルデン、シルベスター・グラハムなどが有名で、彼等の哲学が現在の欧米のヘルスフード(自然食)運動の火付け役となった。そして「ミューカスレス・ダイエット健康法」(粘液なしダイエット)と断食健康法で1950年代有名になった、ドイツ人のアーノルド・エレット博士がいる。博士は断食と粘液なしダイエットで不治の病を克服したのと、7日間の断食の後、生の葡萄だけを食べてマラソンの2倍もの距離を走ったことで有名だ。

火を通した食べ物は酵素が死んでいて、完全には消化されない

簡単になぜ生食がいいのか、というと。科学的に説明するとまず、それは酵素の話になる。
生の食物には潜在酵素というものが入っていて、それが特によく噛むことによって活性化し、その食物の消化を促してくれる。ところが、食物を42℃以上の高温に熱してしまうと、酵素は全て死んでしまう。つまりその食物は消化されなくなってしまう。いや、厳密に言うとそれはまったく消化されないわけではない。というのは、人は消化酵素を消化器官から分泌することができるからである。しかし、それには限りがあるということが、最近解ってきた。特に年令を重ねるごとに分泌される酵素の量は減ってしまう。完全に消化されない食べ物は腸の中で腐敗し、毒素を出すようになってしまうのだ。これを自己毒症と言い、暴飲暴食をしている現代人のほとんどは、この自己毒症に侵されていると言われている。

また、おもしろい研究結果もある。火を通した食べ物はすべて、人間の免疫によって毒素/外敵とみなされる、というのだ。だから、火を通した食べ物を食べると、数秒後には血液中の白血球の数が急増するのだそうだ。そして腸の内壁には粘液がはられ、その毒素を吸収しないようにもする、そういう機能が私達の体の中では働いているのだ。その粘液の幕は永年重なって、皆さんも聞いたことがあると思うあの、『宿便』になるのである。
生食のもうひとつの利点は、「命」そのものだ。 生のものは生きている。命がある。つまり生命力に満ちているのである。「生命」というのは現代科学ではまだ、完全に説明できないが。「生命力」や「命」と言えば誰でも想像がつくだろう。日本人は刺身を食べるから特に、これは良く解るはずだ。魚は新鮮であればあるほど旨い。生命力こそその旨さなのだろう。生命力の強い食べ物の方が旨くて健康にもいい、というのは簡単に理屈が通る。しかし、問題は果物や野菜はいいが、穀物などはどうだろう。お米や小麦を小鳥達のように生で食べるのは非常につらい。そこで登場するのが発芽させるという「調理法」だ。穀物というのは植物の種である。それを発芽させると、生命力が活性化してくる。それを食べるとものすごい力になるというわけだ。もちろんローフーディストの中にもいろいろあって、中にはフルータリアンと言われる熟した果物しか食べない人々もいる。しかし大半は野菜や穀物も食べるようだ。

発芽穀物で作った焼いてないパンがメチャ旨い!

アメリカやイギリスには、発芽させた穀物をすりつぶしたものをコネて作ったパンが、自然食品店で売られている。これがまた非常に旨い。これにはずっしりと重くて(つまり水分が含まれている)黒い、パンの形をしたものと、ウエハースやクラッカーのような薄くて軽い乾燥させたものの2種類がある。これらはみな42℃以上にならないような方法で、天日や食品乾燥機で作られている。重いパンの方は、麦が発芽するときにできる麦芽糖が豊富に入っていて、まるで糖蜜を入れたように甘い。ただ、こっちの方は保存に冷蔵あるいは冷凍が必要だ。クラッカーやウエハースのようなものはカレー味などのスパイス風味だったり、塩味だったり、蜂蜜などで甘くしてありドライフルーツなどが入っているクッキーのようなものだったりする。この乾燥したタイプは非常食としての価値も高い、と僕は思った。冷蔵や冷凍が不必要で長もちする上に、軽くて持ち運びも楽で、メチャクチャ美味しくてしかも生きた食べ物なのだ。僕はアメリカに行くと、そういった生の食べ物しか出さないレストランで食事をするのが、楽しみになっている。ラスベガスにもそんなレストランがあったので、ハッキリ言って驚いた。こういうところでは、まず必ずといっていいほど、小麦が15cmくらいに育った若芽をその場で絞ってショットグラスのような小さなカップで飲む、「ウィートグラス・ジュース(Wheatgrass Juice)」を筆頭とした様々なジュースをその場で絞ってくれる、ジュース・バーがある。そして、様々な種類のサラダに先ほどのようなパン/ウエハース/クラッカーがついた食事が食べられる。

生のピザに生のパスタ料理!?

なんでも生で食べるというと、野菜サラダやフルーツしか思い付かない人もいるが、これがなかなか美味しいものがいっぱいあるのにびっくりする。過熱しないで作ったパンのことを書いたが、次にようなものがある。
アメリカの生食レストランでは、ナッツと発芽穀物で作った、まるでミートローフのような「ナッツローフ」なるものもあって、これがまたすごくおいしい。また、生の海苔で発芽穀物や生野菜などのサラダをくるんだのり巻き、生のピザ、ズキーニ・スクワッシュの中身をスパゲッティのような麺にして、それにソースをかけて食べるパスタなど、いろんな工夫を凝らした生食レシピが食べられる。こういう食べ物は少量食べただけで、お腹がいっぱいになり、長もちするが、胃にもたれるような感じはない。こういう経験をすると。ただひたすら、「日本ではいつになったらこんなものが外食で食べられるようになるんだろう?!」と思い、帰りたくなくなる。
また、このような生食レストランもそうだが、ローフーディスト達は基本的にオーガニック(無農薬有機栽培)のものしか食べない。オーガニックのものとそうでない食品が持つ生命力の強さが、全く違うのをよ~く知っているからだ。私たちは食品から今まで科学的に判明している栄養素:つまり、炭水化物、タンパク質、油脂、ビタミン、ミネラル、etc.を採っているだけではなく、生命エネルギーを採っているのであって、それは「生きている」(生の)食品により豊富に含まれているのだ。

ローフーディスト(生食主義者)達が、皆口をそろえて言うのは、ローフード・ダイエットを食べていると、体が健康にはもちろんなる、生命力がみなぎってきて風邪などひかなくなる、重病が治る、などの効果は当然だ。しかし、それよりも重要なのは、意識が変わると言うことだ。よりスピリチュアルになることで、価値観が変わり、人生の目標が変わってくると言う。特に何かスピリチュアルな訓練(瞑想など)をしなくても、宇宙/万物との一体感をひしひしと日常の中で感じるようになる、と言うのだ。
僕はロサンゼルスで、有名なローフーディストのディナー付きレクチャーを聞きにいったことがあるが、会場は20代から60代以上の様々な年令の人々で満員だった。半分は病気がちで健康になりたいが、現在は普通の食事を食べている人、もう半分はすでにベジタリアン(菜食主義)やマクロビオティック(玄米菜食)などをやっていたりするが、それでは完全ではないと感じ、ローフード・ダイエットを試してみたいという人が参加者だった。参加者全員が驚いたのは、そのズキニ・スクワッシュのパスタディナーのソースやデザートが想像以上に美味しかったことだ。生食というと、フルーツや野菜サラダばっかりか、何か家畜の餌のようなものを食べるのでは、というイメージがどうしてもあるようだが、ローフーディストが食べる食事には、想像以上にたくさんのレパートリーがあって、楽しくて美味しい。ローフーディストになり始めは、ときどき焼いたり煮たりしたものも恋しくなるが、そういうものを食べると、てきめんに自分のエネルギーが落ちるので、必然的に食べたくなくなる、と経験者が言う。それが本当ならすごいことだな、と僕も徹底的にやってみたくなったが、普段食べている果物やサラダ以外には、何をどう調理していいのかまだ解らない。だからカラー写真がたくさん載っているローフードのレシピブックを2冊買ってきた。これから発芽穀物のパンを筆頭に、様々なレシピにチャレンジしようと思っている。

生食をサポートする科学的データ

食べ物を加熱処理すると動物達はどうなるか、見てみると恐ろしい結果になる。これは現在の人間社会にあてはまるのでは?「Be Your Own Doctor (自分で自分の医者になれ)」とうい著書の中で、ドクター・ウィグモアは、こう書いている:完全に平和な共存状態にあるマイス(ハツカネズミ)のコロニーの食事を生の穀物から、人間の食べ残しに変えた結果:マイス同士の喧嘩が起り。弱いものを強いものが殺して食べてしまう。マイス社会は壊滅的に荒廃してしまい、1週間後にはマイスのコロニーは、半分食べられてしまったマイスの死骸が散らばった、荒れ果てた状態になる。食事を元の生の穀物に戻すと、数日間でマイスのコロニーは元の平和な状態に戻ってしまった!
彼女は続ける。人間の体内から腫瘍の細胞を取り出しで培養する。それに加熱処理した食物を与える限り、その腫瘍細胞は増殖を続けるが、生の食物を与えるとたちまち死んでしまう。

1930年に発表された医学博士ポール・カウチャコフの研究に、次のような事柄が乗っていた。加熱処理および人工的に加工された食物を食べた直後の人の血液を調べると、白血球の数が急激に多くなっている。生の自然な食品を食べた後にはこのような血液内の変化は起きない。つまり人間の身体は加熱処理/人口加工された食品を毒物や外敵とみなしているのである。

次に、10年間にわたって900匹以上のネコを使って行われた実験の結果。同じ肉・魚・野菜・牛乳を、1つのグループのネコには加熱調理して与え、もう1つのグループには生で与えた。生食のグループは健康で正常な発育状態が世代を超えても続いて行った。一方、加熱処理した餌を与えられたグループの方は、死産が1世代目で25%、2世代目で70%にもなっただけでなく、骨格の生育も未熟になり、様々な病気にかかっていった。そして3世代目では、寿命がなんとたったの6ヶ月になってしまっのだ。この実験でもうひとつ驚くべきことは、生食のネコの排泄物で育てた植物は健康であったが、加熱処理した餌のネコの排泄物で育てた植物までもが、病気で育成の悪い植物になってしまったということである。

それにしても、ただの玄米菜食やベジタリアンでさえ、ほとんどお目にかかれないこの日本で、菜食主義でしかも全てを生でしか食べないというローフード・ダイエットは、はたして定着するだろうか?するとしたらいつ?僕が100歳のローフーディストで、ピンピンしているような日がきたら、耳を傾けてくれる人が出るかも。でも、あの美味しいパンやウエハースは、もし日本で売っていれば、皆買って食べるだろうな。じゃあ、自分であれを作って売る商売でも始めようか、などと真剣に考えている、今日この頃である。

文=KAZUYA フィリ55号、56号で連載「ニューワールドトレンド」の記事として掲載

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フィリは、ニューエイジ・ムーブメント、精神世界、 トランスパーソナル心理学に関するワークショップ、 セミナーのリアルタイム情報誌『FILI』として、1990年~2002年まで定期刊行を続けてきました。 まるでコンサートに行ったり、映画を見るように、 こうしたジャンルのセミナーやワークに気軽に参加できるようになれるといいね、 と精神世界の『ぴあ』を目指して有限会社フィラ・プロジェクツが1990年に雑誌としてスタートしました。
内容は、日本で実際に参加できるワークショップやセミナーなどを紹介する情報に加え、 アメリカ情報、ワークを受けた体験記などのページと、 自分の中心をしっかりもって意識的に生きている人々のインタビュー記事で構成しています。

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