エサレン

エサレン滞在記(2)

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大海原に落ちゆく美しい夕日に感動

2週間後、私は彼女の車の助手席に乗り、カリフォルニアの青空の下、雄大な太平洋に面した海岸沿いをくねくねと走るハイウエイをエサレンへと向かっていた。

1960年代、カリフォルニアでは西洋と東洋の思想や文化の融合によるニューエイジという新しいムーブメントが生まれた。その象徴的なセンターといえるのが、エサレンである。

また、エサレンは、かつてエセレン部族と呼ばれる北米原住民の居住地であり、聖地でもあった。太平洋が広がるビッグ・サーの壮観な海岸線に面し、背後にサンタルチア山脈がそびえる自然豊かなその土地にはなんと温泉の源泉もある。

このタイミングでエサレンに行けることになり、その実感がないまま車は夕方近く、現地に到着した。車道に面した目立たない門から坂道を下り、超カジュアルないでたちの守衛の男性にセキュリティ・チェックを受けてから、車ごと敷地に入っていった。目の前にはこんもりとした林の中に点在する木造の建物、広々とした庭園、野菜畑、コンクリ化していない駐車場などがあり、さらにそのむこうには太平洋のパノラマが広がっていた。

さっそくブックストアも兼ねたオフィスでチェックインし、向かいのモーテル形式の平屋のツイン・ルームへ。そこはベッドとデスクだけの簡素な部屋で、ベッドの上には針葉樹のひと房でかざったバスタオルが一式置いてあった。私はさっそく地図を頼りに、敷地内を一人で散策しにでかけた。

この地域の冬は雨が多いと聞いていたが、その日は晴天だった。西に面した大海原に落ちゆく美しい夕日のなんとすばらしいこと! この地に歓迎されているかもとにっこりしながら、野菜畑を横切り、さらに海岸沿いの森の庭園へとゆっくりと歩いていった。するとある一角にスエットロッジが、そのさらに奥にはオレンジ色の夕日を背景に静かにたたずむ小さな仏像があった。
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この場にはネイティブの教えも仏教も含め、自分が今まで学んできたような世界観や思想、スピリチュアリティ、そして自然と調和する意識が融合しあい息づいているという印象があった。さらに、大陸と太平洋の大海原のパワーを受け何か大きな意識のダイナミズムが脈々と鼓動し、おおらかにこの場を見守っている感があった。

夕食時、その日オープンしたばかりという新しいダイニング・ルームでたくさんの人が列を作っていた。テーブルには野菜畑で取れた新鮮な野菜のサラダ、スープ、メイン・ディシュ、デザートと盛りだくさんの料理がブッフェ式に並んでいる。ここでは誰も知らないはずなのに、なんだかほっとして違和感がないのは、その場やそこにいる人達のエネルギーによるものに違いない。とても自由で、のびやかで、フレンドリー。それは、お互いの違いを超え、内面の世界への関心が共通項だからなのかもしれない。

…つづく

この記事を書いたひと
渡邉雅子 (わたなべまさこ)

渡邉雅子 (わたなべまさこ)

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通訳・翻訳・エッセイスト。
思春期に「人生の意味は?」という疑問に深く心をかられ、留学先アメリカの大学では哲学史を専攻。卒業後、欧州に遊学、帰国後はビジネス、技術、エンターテイメントなど他分野において通訳業を営む。その傍ら、スピリチュアリティ、ニューエイジの思想に出会い、以後ディーパク・チョプラ博士、二―ル・ドナルド・ウォルシュ氏など、その世界のリーダーたちの通訳も担当している。
哲学で見いだせなかった答えを、人生を生きる過程で、ジグゾーパズルのピースをひとつひとつ見つけるように、さまざまな体験から今もオープンマインドで観察し続け、洞察を深めている。また、それらの体験をジャーナリスト的タッチでメインストリームに紹介し、意識の進化の一助となることをライフワークとしている。
ここ16年間、毎年フィンドホーン日本語体験週プログラムの随行通訳も担当し、創設者の故アイリーン・キャディさんやドロシー・マックリーンさんのインタビュー記事をフィリに掲載。著書には「ピタゴラス数秘占術」(学研)、訳書には「自由への道」(知玄舎)、「エナジーメディシン」(中央アート)などがある。

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