リバーシング(体験談)

「それでは始めましょうか」アットホームな雰囲気の中、いよいよ2時間のワークが始まります。今日の参加者は30～50代の男女10名。その中で、ブリージング初体験は私だけです。
まずは、セラピストからリバーシングの説明を受けます。リバーシングはとにかく深くて速い胸式呼吸が大事。ふむふむ。体が硬直してきても、呼吸を続けていれば痛みはとれる。…硬直？痛み！不安がつのる。ただ、呼吸に集中していれば、自然に体験が起こってくる。うーん、なるほど。
お話のあと、軽い準備運動で体をほぐします。呼吸がある程度深くなったところで、マットを用意し、さっきまで座っていた座布団を枕にして横になります。それから、私たちがすることといったら『呼吸』のみです。ただひたすら、深くて速い胸式呼吸に意識を集中させるのです。
数分後、私の体に変化が起こりました。い、痛い…。手足がしびれたかと思うと、これが硬直だ！と、すぐわかるほど筋肉がカチカチになり、リラックスして広げていた手も、今では自分の意志で開けません。そして、今まで経験がないというくらい汗が流れます。
セラピストが、一人ひとりにまわってきて、私にも声をかけてくれました。彼の呼吸に導かれ、さらに呼吸に集中します。そのうち、なるほど、硬直が少し楽になってきました。そのまま集中していると、意識がどこかへ行きそうになるのを感じました。ちょうど、夜、布団に入って「あー、眠りに入るな」と思う瞬間のようです。
すると、心の奥から『悲しみ』が込み上げてきて、胸がいっぱいになってしまいました。悲しいなー。別に必要ないなら生まなくてもよかったのに。私、生まれてこなくてもよかったんだけどな。あーあ。そんな感じがしました。涙が流れました。おぉ、なんだこの感じは？と、
考えたとたん意識がもどってしまい、それ以上はなにも感じませんでした。
それから、また呼吸に集中する長い時間が始まり、疲れもピークに達しつつありました。
「休まないでくださいね。まだエネルギー、あるはずですよ。寝てる人も頑張って」セラピストの声が聞こえます。
私はやるぞ！私は最後のエネルギーを呼吸に注ぎ込み、意識を集中させました。しばらくすると、またあの瞬間がきました。意識が飛ぶぞ～。
体が波に揺れています。温かい海のようです。気持ちが良くて、安心できる場所…。
数分後、心音がテープで流され、ワークももうじき終りです。私は力を使い果たしたため、ちょっとウトウトしてしまいました。
「はい、じゃ、体起こしましょうか」
はじめの車座に戻り、各自の体験を話し合いました。私が体験した『海』は、子宮体験だったそうです。ほかにも、最後の心音で親への感謝の気持ちが込み上げてきた人もいれば、なにも起きなかった人もいて、効果は人によって違うようです。
前に母から聞いた話では、私の場合、予定より1カ月遅れで、しかも難産。2日がかりでやっと生まれる間に、隣の分娩台では3人の赤ちゃんが誕生していたそうです。
リバーシングは、初めての人にはちょっときついけれど、とても貴重で楽しい経験ができますよ。
（専門学校生・19歳・女性）