セラピー・ヒーリングサロンの検索 フィリ/FiLi

~こころ軽やかに~
豊かな人生を創造したい人へ
アレクサンダー・テクニーク

アレクサンダー・テクニーク(体験談)

「まず、いつものように座ってください」と言われ、丸椅子になにげなく腰掛けました。私の動きを見ていた先生は、次に「今度は片手を頭の後ろに当てて座ってみてください」と言います。私は右手を当てて、同じように座ってみました。しゃがむときに首がこわばる感じ。「そうです。どうして首が固くなるのか、鏡を見ながら座ってごらんなさい」。なるほど、私は座るときに頭を後ろに引いているようです。体はくの字になっているのに、頭は直立したまま。「それが首を緊張させるんですよ。首が楽になる方法でやってみましょう」。先生は、立っている私の首や頭の辺りに手を当てて、微妙に動かし始めました。ちょっと押されると、簡単に重心が動きます。そういった微調整が終わると、先生は手を私の首に当てたまま「では膝を曲げて、次に股関節を曲げる」と指示を出しました。座るんだと理解して動きだしたんですが、先生は「座ろうとは思わないで、腰と背中はひとつですよ、首は曲げない」と私を誘導していきます。おしりが椅子に着くまでは怖い感じ。いつもと違って、不安定な気がするのです。
今度は立つ姿勢をまっすぐにします。私は「首は楽に、頭は上に前に、背中は広く、腰とひとつ」という先生の言葉をイメージしているだけです。先生は私の頭や首や背中に次々と触れていき、またしても足の裏を支点としたヤジロベエになった気分。そうやって重心を微妙に動かされると、ときに倒れそうな感じになります。すると、「足の指が開いて、足の裏に全体重がかかっているよ」と言われました。足に意識を向け、指を開きます。ふんばりがきいてきました。「いま、どんな感じがしますか?」と聞かれます。私の感覚だと、上半身が前に傾き過ぎているはずです。「じゃあ、鏡を見てください」。見ると、鏡の中の私はまっすぐに自然に立っています。「いつもは骨盤が前に傾いて、お腹を突き出していたんですね。骨盤をまっすぐにしたから、いつもより前につんのめるような気がするでしょう?でも、本当はこれがまっすぐなんですよ」。錯覚?自分の平衡感覚が間違っているなんて信じ難いことでした。
次は歩く動作。いつも通りに歩いてみると「足が先に出て、上半身が後からついていっている」と指摘されます。先生に首根っこをつかまれるようにして前に倒されると、倒れまいとして片足が前に出ます。それを繰り返して進むのが正しい歩き方なのだそうです。「なんだか、能役者の歩き方みたいですね」と笑うと、先生は「あれはちょっと固いけど、たしかに茶道や居合など、日本の伝統的な動きには、ATと通じるものが多いです」といくつかの動きを見せてくれました。先生の動きは、「型」と呼びたいような、流れるような動作でした。
最後は寝る姿勢。寝るのに正しいも間違いもあるもんかと思いました。でも腰を伸ばされ、股関節をゆるめた後で立て膝にされ、腕を曲げて手のひらを胸に置くようにすると、体全体がべったりと床に着くような感じ。自己流と違って、折り畳まれていた体が、きれいにふくらむ感じなのです。気持ちがよくて、眠ってしまいそうでした。不思議と気持ちまでゆったりと落ち着いています。帰り道でも歩くことを楽しみ、座ることを味わいました。すべてが新鮮なのです。ところが、家に着くころにはその素晴らしい感覚がしぼんでいき、元の感覚が戻ってきてしまいました。やはり、体が覚えるにはもっと回数をこなす必要があるようです。でも、これをマスターできれば、さぞ毎日楽しいだろうなというのが実感です。
(ライター・30歳・女性)

印刷:フィリ http://www.fili.co.jp