フォーカシング
フォーカシング(詳細)
意識と無意識の対話
そのフォーカシングを開発したのがユージン・T・ジェンドリン博士(1926年~)だ。彼はシカゴ大学で心理療法家のカール・ロジャーズ博士のもとで学び、多くの臨床事例からフォーカシングの手法を開発。1978年、専門家はもちろん、一般人にも理解できるような平易な文体で書かれた著書「フォーカシング」の刊行で、これを解説、体系化している。
フォーカシングでは、たとえばある「悩み」があったとき、それを過小評価すること、それを論理的に分析すること、それに立ち向かうこと、自分に説教をすること、感情に沈み込むこと、といったアプローチはしない。「悩み」に対する正直な自分の感情を明らかにし、湧き起こってくる感情をありのままに受け入れることから、このセラピーは始まる。なぜなら「頭=意識」の中には、計算のようなものが働き、こうあってはいけない、こうあるべきだ、という具合に、本質を見失い、自分の都合のいいところだけに光をあてようとする働きが起こるのだ。嫌なところは見ない、もしくは閉鎖的にしてしまうというふうに。そうすると、ますます「体=無意識」はそれに対して否定的になり、「悩み」はさらに膨らんでしまう。フォーカシングでは、「悩み」をありのままに受け入れ、それを感じとる体に対して正直に、かつ共感的理解を示す。それは意識と無意識の間の対立的ではなく受け入れていく対話、コミュニケーションである。頭と体のバランスを保っていくことが肝要になるのだ。