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ホロトロピック・ブレスワーク

ホロトロピック・ブレスワーク(体験談)

ホロトロピック・ブレスワーク画像

アフリカの太鼓のようなテンポの激しい曲に合わせて、深く速い呼吸に挑戦してみた。呼吸しやすい形を探した。体を丸めると楽だった。しびれる感じはないけれど、しばらく経つと右肩がだるくなったような気がする。何気なく右手を右肩に当てた。
するとトレーナーが、その右肩をグイグイと押してきた。とても嫌だった。胸苦しかった。うつぶせで這いずるように一生懸命逃れようとしたが、放してくれない。「大きな声出していいよ」といわれると、「嫌だー。放して」と叫び声が出た。しばらくするとその叫びが「放してー。助けてー」になった。
ますます肩を押されるから、必死でもがく。うつぶせでは逃げられないから、仰向けになって肩を押している手をはずそうとした。
ところが仰向けになると、手の位置を変えて胸の側から押してくる。とにかくこの手が嫌で振り払おうとした。手足をばたばたさせた、と思ったら、何人かで手足を押さえつけられた。起き上がろうにもどうにもできない。「嫌だ」という思いは頂点に達し、ほとんど泣き叫んでいた。さんざん泣いて、暴れようともがいたあげく「お母さん助けて」と悲鳴を上げた。自分でもびっくりした。何で「お母さん」という言葉が出てくるの。
すかさずトレーナーが抱きしめてくれた。泣きじゃくった。トレーナーは子どもを寝かしつけるような体勢で、背中をずっとさすってくれていた。かなりの時間泣くと、安心してきた。それでも背中はまださすってもらいたい。もうちょっと、もうちょっと…。もう大丈夫という気持ちになってトレーナーの腕をすり抜けた。
シーツが手に触れたので、くるまってみたくなった。くるまりながら、また呼吸をしてみた。今度はおかしくなってクスクスと笑いが込み上げてきた。おかしくておかしくて仕方がない。誰かの手が頬に触れる。ますますおかしい。顔を背けても手は追ってくる。楽しい。手と遊び始めた。
やがて遊びにも飽きて、壁際に行って丸くなった。タオルケットや毛布をかけてもらう。背中をさすってくれる手があった。気持ちがいい。この手がずっとさすってくれるといいなと思った。ちょっと逃げてみよう。手が追いかけてきて背中をさする。いいぞ、いいぞ。えい、これならどうだ。また追ってくる。またクスクス笑いたくなった。時々クスクス笑いながら、背中をさすられていた。流れている音楽もいつの間にか静かな曲になっている。とても安らかな時間だった。
ふと、あら私って子犬なんだと思った。なんだ子犬かと思うと、妙に納得してしまった。そして背中をさすってくれる手のぬくもりに包まれて、人のぬくもりをすっかり忘れていたことに気づいた。
この間、意識はずっとあった。何をしているのか、しっかりわかっていた。でも感情の噴出は止めようがなく、感情にそって体が動いた。ホロトロピック・ブレスワークは幽体離脱や前世体験ができるかと多少期待して臨んだのだが、初体験は、もっと身近な、私にとって必要な体験をさせてくれたようだ。
(新聞記者・30歳・女性)

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