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~こころ軽やかに~
豊かな人生を創造したい人へ
音と遊ぶワーク

音と遊ぶワーク(体験談)

音と遊ぶワーク画像

お・ん・が・く、といえば「音が苦」だ、という友人がいたが、私も同様。いつのまにか私の内にある「音楽」への扉が開きにくくなった。扉の向こうが気にはなるけれど、隙間から入ってくるものは時に私を不安にする。難しくて、わからなくて、できない「音楽」の向こうに何があるのだろう。
少し気が重いけれど、ソイリさんによる音楽ワークショップの輪の中に入ってみた。
床に素足の裏をつけて立つ。天と地のつながりの中に立つからだ。そのいろんな部分を上から少しずつ動かしていく。「ひざをゆるめて!」とソイリ。
「鼻の先に筆が伸びて、この筆で大きなマルやジグザグを描いてみましょう」…不思議!私の鼻が見えない筆の重さを感じながら動き、筆が地面に届いて弧を描く頃には、私の呼吸がからだの動きに同調しているのだ。立ったまま合わせた両手が下に伸びて地面をさわる、あるいはひざで文字を書いてみる。などゆるやかに動きが進むにつれて、からだがあたたかくなってきた。
円陣に坐ると、ソイリの手が動き始めた。右手の先で左手の指先から軽くたたき、耳をすます。さらにその右手が、途切れず腕から肩、胸へ移り、打つ手が代わって右肩から右手の指の先に音の波がつながっていく。一つひとつ微妙な音の連なりがうねっていく。からだ一つにこんなに豊かに音があるとは!私は鳥肌が立ってしまった。
ソイリはからだと表情だけで私たちを自然に次の「遊び」にさそう。彼女の指が音をたてはじめ、全身がゆったりと波打っている。スナップ、手拍子、ひざたたき、足ぶみ――シンプルな基本のリズムがつながって、ソイリの動きはダンスそのもの。棒きれのような私たちのからだが少しずつ弾力をおびてくる頃、私は「音が苦」も「音楽」も忘れて、その場を、自分を楽しんでいた。
「こわがらなければ、自由がある」。時にからだを固め身構えてしまう私たちに、間違ってもいいのだとソイリは声をかける。
物語るときのソイリは、思わず私たちを引き込んでしまう。フィンランドの古いお話、ビルタンとラディネンの物語。ドアがギギッと開いてビルタンが外に飛び出すとパタン!ソイリの左右の手が人になったりドアになったり。声が情景を見せてくれる。山を越え行くビルタンの動きは、そのまま歌に。そしてその歌を、私たちもいつの間にか口ずさんでいたのだった。

Every morning when I wake up, I want to sing a song ♪(毎朝目覚めると私は歌いたい♪)

ソイリが歌うこのメロディーは易しく、英語と聞けば逃げ出したくなる私でも、歌っているうちにこの歌詞を好きになった。グループに分かれ、メロディーを他のグループが、易しい基本の音のパターンで支えていくと、歌の空間が広がってあたたかくなる。
マッチ箱やテニスボールを使って私たちは自分の音をチューニングし、リズムを試し、仲間と遊ぶのに夢中だ。グループごとに、音と動きがどんどん生まれ、どれも個性的でおもしろい。マッチ箱やテニスボールを打楽器に持ち替えても違和感がないのはなぜだろう。
「音楽」も「音が苦」もどこかに消えてしまった。ソイリと仲間の輪の中で、一人ひとりの音とからだがゆるやかに溶けあうような気がした。いつの間にか、私の内にたくさんの扉が開かれているのを感じた。扉は、ひとつだけではなかったのだ。
今、黙って立つ私のからだ、その内にすでに動くものがある。リズムの種子と言おうか、いのちの源と言おうか、それに耳をすます。開かれたいろんな扉から入ってくる風が心地よい。

Every morning when I wake up, I want to sing a song ♪

(レクリエーション・ワーカー・50代・女性)

印刷:フィリ http://www.fili.co.jp