リバランシング(詳細)

体のバランスを崩すのは心理的原因

人間は生まれてきたときには、特別な理由がないかぎり、肉体的に完全にバランスのよい状態である。ところが、成長するにしたがい、外界からのさまざまな心理的影響によってバランスが崩れてしまう。では、なぜ心理的影響によって肉体のバランスが崩れるのだろうか。
簡単に説明すると、精神的なバランスの崩れが、生体エネルギーのバランスを乱すことになり、その結果、体に不必要な筋肉の緊張が生まれ、さらにそれが骨格の歪みとなって肉体のバランスを崩す。人間の病気の75～90%は、心理的な原因によって起こるものだといわれているが、それはおおかたこのようなメカニズムによるものだと思われる。
リバランシングでは、このメカニズムをうまく逆利用した考え方をとっている。
通常、記憶は脳にインプットされていると思われているが、リバランシングの場合は、細胞の一つひとつや筋肉といった肉体の組織そのものに記憶が宿っていると考える。歪んで固まっている肉体の組織にワークすることによって、その忘れられていた記憶が、沼の底から泡が浮き出るように受け手の脳裏に浮かび上がってくるのである。それらは何らかのヴィジョンとして現れることもあれば、イメージ、考え方、忘れていた特定の場面の記憶だったりする。
重要なのは、その記憶を見ることによって、受け手自身が『気づき』を得るということだ。自分がどんな心理的緊張を背負ってきたのか、そのためにどんな精神状態にあったのか、またどんな行動パターンに陥っていたのかを知ることにある。
受け手はいったんこのような気づきを得ると、自分が無意識にやっていた行動に注意できるようになる。つまり無意識から解放されていく。そして次からは生活上の場面で同じような心理的緊張を受けても、同じような行動パターンに陥らずにすむようになり、もし陥ったとしても、その失敗から早く脱出できるようになる。「リバランシングを受けると人格が変わる」とまでいわれているのはこのためだ。
さらにリバランシングのボディワークとしての利点には、精神的な気づきと同時に肉体的な気づきが得られるということがある。たとえば「自分は今こういう姿勢をしている」ということを、頭で気づく前に体で気づくようになれるのだ。