箱庭療法(詳細)

子どもにもOK

ここで、箱庭療法を行ない癒された例をあげてみたい。ひとつの家庭があった。父親と母親と幼稚園に通う女の子が2人。どこにでもある家庭なのだが、この夫婦は非常に仲が悪く、子どもの前での夫婦喧嘩が絶えなかった。特に母親の方が父親を毛嫌いしていた。ある日、とうとう母親は子どもを置いて家を出てしまう。母親がいなくなって、自分たちは捨てられたとわかってしまった子どもたちは、この頃から、すぐ泣き出すなど精神的に不安定になっていった。
そこでこの子たちに箱庭療法を始めたところ、いろいろな心の葛藤を箱庭に表し始めた。家をたくさん置いてみたり、あまり物を置かずに人を1人置いてみたり…。セラピストはこの子どもたちと時間をともにし、話したり遊んだりしているうちに、この子たちが箱庭に何を表そうとしているのかがわかってきた。それは求める家族であり、孤独であった。わずか4、5歳の子が、言葉にはできないものを形として創り出した。セラピーの最終回にこの子たちは、箱の中心に母親と子どもとお地蔵さんがいて、母親はお地蔵さんに「この子を守ってほしい」と願っているという箱庭を創った。これは、自分を守ってくれる母親を、自分の中に確立したということである。