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プロセス指向心理学(POP)

プロセス指向心理学(POP)(詳細)

クライアントによって異なる技法

ドリーミング・プロセスは、実にいろいろな形をとって表れる。視覚を通じ、夢やイメージ、象徴といった表れ方をする場合もある。あるいは体の痛みや症状、姿勢や歩き方といった動きに表れることもある。その人の喋り方や話すスピード、トーンも表れのひとつである。また、対人関係や家族のあり方、ひいては社会、政治状況、環境といったものにまで表れてくる。セラピストはそれらすべてを頭に置きながら、セラピーを進めるのである。
プロセスそのものに焦点を当てるので、一見同じことを訴えているクライアントでも、彼らの訴え方によってまったく違った展開をみせることがある。たとえば「蛇の夢を見た」とクライアントが言ったとしても、ひとりは蛇の動きを手でまねて表現し、もうひとりは映像として頭の中に浮かんでいるものを伝えようとする。前者には、蛇をまねた体の動きをどんどん大きくしていくボディワークが有効であり、後者には絵を描かせる方法が最適である。絵を描き終えたクライアントが「この蛇は何かに追いかけられているみたいに急いでいる」と説明したとすると「何かに追われる」というイメージが彼の中にあることになる。そこですかさずイメージワークに移っていく。このように、すべてのワークはクライアント自身の流れに従って変化していく。
クライアントにとっては、それぞれのワークがきわめて自然な流れであり、無理にやらされているという感じがしない。セラピストはクライアントが、自ら排除してきたもの、恐がっていたものが何であるかに気づき、それを再び上手に取り込んでいく手伝いをするわけだ。「排除したもの」とは、抱えている問題の核心であるが、そこに至るには、いろいろな段階を経る必要がある。一見、まわりくどい道ではあるが、本人にとっては唯一の道のりといえる。
こう書いてくると、表現力に乏しい人や、口下手で、絵も描けないという人にPOPは向かないと思われるかもしれない。しかし、実は植物状態の患者や、自閉症の患者にさえ効果を上げている。黙る、おびえるといったことも立派な表現であり、内に向かうプロセスも、外に向かうプロセスと同様に大切であるからだ。つまり、POPが有効でない人は基本的にほとんどいないのである。「いま起きていることには、すべて理由がある」というのがPOPの基本理念。なぜ起きているのかに目を向け、細い糸を手繰り寄せていけば、そこに核心がある。手順を踏むことで、クライアント自身に「核心をつかんだ」という実感が増し、問題の核心を受け入れる準備もできるのである。クライアントにとって、最もナチュラルなセラピーといえよう。



まず、この1冊!
『プロセス指向心理学』
アーノルド・ミンデル著
小川捷之監訳
春秋社

印刷:フィリ http://www.fili.co.jp