リバーシング
リバーシング(詳細)
出生に伴うトラウマ
リバーシングでは、なぜ出生体験を再び思い出させる必要があるのだろうか。それには、フロイトの弟子であるオットー・ランクの思想が基本となっている。オットー・ランクは、いろいろな人生パターンを決定しているのはバース・トラウマ(出生外傷)だと説いている。
バース・トラウマには精神的トラウマと肉体的トラウマがある。妊婦が精神的に不安定な状況にいたり、タバコを吸っていたりすると、胎児に悪影響があるということはよく知られている。しかし最近では、胎児は受胎した瞬間から感受性をもつといわれ、外界からの刺激を記憶している例があることも明らかにされている。
両親が否定的な感情をもっていたり、出産前後に胎児にとって苦痛となる医学的取り扱いがあると、生まれてくる子どもの人生は深刻な影響を受ける。
たとえば、両親が男の子を期待していたのに、女の子が生まれたとする。そこで両親が失望すると、それは胎児に伝わり精神的トラウマとなる。生まれてきた女の子は、ありのままの自分では愛されないと思うようになり、男の子のような行動をとるようになったり、自分は厄介者で誰も自分を受け入れてくれないという敗北感を抱いて、一生を送ることになる。また、分娩室のまぶしすぎるライトや、出産直後にへその尾をすぐ切られてしまうことは、赤ん坊にとって肉体的トラウマとなり、自分は愛される資格がない、世間は自分を歓迎していない、人生は怖いものだ、という人生に対する否定的な態度を植えつけることになる。
バース・トラウマは無意識のレベルで一生その人を操作し、その多くがマイナスに作用すると考えられている。