グルジェフ・ワーク
グルジェフ・ワーク(詳細)
「人間は眠っている」
具体的には、まず徹底的な自己観察が行なわれる。グルジェフは「人間は眠っている」と言っているが、それは生理的に眠っているという意味ばかりでなく、意識のレベルが低いということをも意味している。ワークの目的は、ある意味でその眠りから解放されることにある。そのためにまず、自己観察が要求される。そして、そのことが「自己想起(Self Remenbering)」の始まりとなる。
生活のあらゆる瞬間に、自分がどんな物事に執着しているか、どんな感情に流されているか、どんな思考パターンを持っているかなどを、「良い・悪い」「快・不快」の判断を下すことなく、あるがままに観察していくのだ。また、内的なものばかりでなく、自分の体がどんな姿勢をしているか、視界にはどんなものが写っているか、どんな音が聞こえているかなど、肉体的なものも観察の対象となる。
このことはまた「注意を分ける」というふうに表現されている。理想は、ある瞬間に自分の周囲で起こっていることすべてに鋭敏に注意を分け、同時に自分の内側で起こっていることすべてにも客観的に注意を分けることができているという状態だ。
注意を分けることを、また別な表現にいい換えると「同一化しない」というふうにいうこともできる。「同一化する」とは、ある一つの対象や刺激にだけ魅きつけられ、他の物事に対する注意がほとんど失われてしまうということである。怒りや悲しみに巻き込まれて、冷静な判断ができなくなってしまっている状態などは、同一化のわかりやすい例である。