ロールプレイ(詳細)

ロールプレイとは、ドラマ的な手法を使ったセラピーである。「役割演技」とも訳される。与えられた役割を演じることによって、物事への視点の客観性を高め、自分では気がつかなかった日常生活での課題や問題点の解決、あるいは新しい自己の発見を目的としている。
ロールプレイは、ルーマニア生まれの精神科医J・L・モレノによって創始された「サイコドラマ」（心理劇）において、概念化し発展してきた。日本では、1958年、教育現場の道徳指導において「劇化」が取り上げられて以来、教育相談に適用されている。その応用範囲は幅広く、今では、ゲシュタルトセラピーや行動療法の中の一手法として用いられたり、あるいは、職場での社員教育の一環として、電話応対や販売・営業技術などの習得の手段として活用されている。一種のリハーサルであり、シミュレーションともいえる。
モレノが若かりし頃、精神分析療法を創始したフロイトに出会ったときに、こう言ったという。
「あなたは面接室という人工的設定の中で人々と会いますが、私は自然な環境で会うことにします。あなたは、彼らの夢を分析しますが、私は彼らにもう一度夢を見させます」
モレノは、精神療法の場として、精神分析学の治療室のような閉ざされた空間よりも、開かれた相互交流が可能となる演劇舞台を選んだのである。