シュタイナー
シュタイナー(詳細)
農業と工業に対する考え方
またシュタイナーは、農業人という側面も見せた。農業運動では、農薬によって害された土地や、乱作によって痩せてしまった土地を健全に戻すことが目的とされた。そのためには、自然の生産能力についての洞察や、宇宙と地球の関連についての知識が必要とされた。彼の説く農法は、大地とそこからとれる収穫物を健全にすることが、ひいては人間を健全にするという考え方に基づいている。
さらに、シュタイナーの社会構造論も、示唆するところが大きい。それは工業社会が、他者を生かし、自然にも合致した社会であるための処方箋だ。その基盤なる考え方は『三層構造論』と呼ばれる。すなわち、文化と国家と経済の間には、明確な線が引かれなければならず、文化の領域では自由が、国家においては平等が、経済には友愛が働くべきだという。
シュタイナーは、人間と森羅万象との関わりを、アカデミズムにとどまらない大きなスケールで論じ、また実践した。その影響は、書物を通じてのみならず、数々の共同体、会社や学校、またエコロジストたちなどを通じて、今日なお、われわれに影響を与え続けている。
まず、この1冊!
『いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか』
ルドルフ・シュタイナー著
高橋巖訳
イザラ書房